電磁波問題を考える
電磁波問題の世界的な動き
- WHO(世界保健機構)では、人々を電磁界から遠ざける為の施策をと
「電磁界と公衆衛生」で指摘 - 米FDA(食品医薬品局)では、携帯電話使用者の電波暴露が最低限に
なるように業界に要請 - スウェーデンでは、最大2ミリガウスを目安に学校・保育園を移動
- 英国では、16歳以下には携帯電話を控えるよう国が勧告
- スイスでは、磁界の規制値を10ミリガウスに設定
- 日本では、未だ5万ミリガウス(WHO 1987年基準)を安全の目安に
電磁波問題は地球環境問題の一つだと知ろう
電磁波とは何か
「電界」とは電気のある世界(場所)の事です。
送電線や家庭の電気器具の周りは全て電界という訳です。
例えば家庭の100Vの電灯線程度では電界を感じる事はありませんが、
テレビのブラウン管の前に手を持っていくと、皮膚が吸い寄せられる
感じになることがあります。これはその場所に「電界」が存在する証拠です。
電界の強さは距離と共に急激に弱くなるので、高圧送電線の下で身体に
何か感じるということはありません。
「磁界」とは磁気のある世界(場所)の事です。
つまり磁石の周りが磁界というわけです。従って送電線や家庭の電気器具など、
電気が流れている周りには磁気が発生し、磁界があることになります。
この磁界も電界と同様、距離と共に急激に弱くなります。
「電磁界」とは、この「電界」と「磁界」が合体したものです。
電界と磁界の強さが同じであれば、両者が合わさっても特別な現象は生まれません。
しかし、交流のように電流や磁気の方向が強さも含めて変化すると、
電界と磁界が相互に影響しあうようになります。この結果、電界があると磁界が生じ、
磁界があると電界が生じるという具合に、次々と波のように伝わる世界(場所)を
電磁界といいます。
ちょうど、電磁界は海であり、その海で次々に起こる波が電磁波ということになります。
なぜ電磁波が問題なのか?
送電線の危険性を指摘した初論文
電磁波の健康への影響を世界で初めて指摘したのは、1979年ワルトハイマー博士と
リーバー博士の共同研究による「電線の形状と小児ガン」という論文が
「米国免疫学ジャーナル」に掲載されたときでした。
この論文では、電流の多い送電線や変電所の近くと、それ以外の領域に分けたとき、
電流の多い場所では小児白血病が2.98倍、脳腫瘍が2.4倍、小児ガンで2.25倍という
結果を示したと報告しています。
この論文は以後、今日に至るまで送電線や電磁波と健康に関する多くの調査・研究が
行われるきっかけとなりました。
注目されたカロリンスカ報告
1992年、スウェーデンのカロリンスカ研究所が過去25年間に22~40万Vの
高圧送電線周辺に住んだことのある約44万人を対象に行った
「スウェーデンの高圧送電線の近くに住む人たちにおける磁界とガン」
という調査研究を発表しました。
その結果、「3mG以上の被爆で小児白血病の増加は3.8倍、2mG以上では2.7倍」
となり、電磁界と小児白血病、小児ガンの間には有意義な関連性が認められる
こととなりました。
このカロリンスカ研究所の報告は世界にインパクトを与えるものとなり、
以後、電磁波の人体に及ぼす影響調査が数多く進められるきっかけになりました。
実際、こうした疫学研究は2001年までに100件近い論文が発表されるなど、
世界の関心を集めていますが、その研究の多くは電磁波、電磁界とガンの
関係の有意を示しています。
WHOも超低周波で見解示す
1987年にはWHOが「磁界に関する環境保護基準」を発表します。
これは超低周波の
磁界の影響にマトを絞ったもので、
「50,000mG(ミリガウス)
以下の
50Hz・60Hz磁界では有害な生物学的影響は認められない」という見解を示しました。
しかし、50,000mGという磁界は日常レベルで見た場合、きわめて強く、
一般の生活環境ではこのような強い磁界は存在しないと考えるべきでしょう。
本来、問題となる磁界強度は0.1から4mG程度の間の数値が議論の対象だからです。
例えばIHナベでの調理
火を使わなくても加熱調理が出来るIH調理器具は、スイッチを入れると、
電磁調理器内のコイルに電流が流れ、この電流が周囲に磁力線を発生させます。
その磁力線がナベの底を通る時に、誘導電流が生じ、その誘導電流がナベの
電気抵抗によって熱が発生するのです。
何が問題かと考えると、電磁調理器はこのような原理で加熱する構造のため、
電磁波が生じます。そして、電子レンジのように電磁波防護シールドが
施されたものと異なり、電磁調理器の正面数十センチの位置で調理する人間の体に
直接盛況を及ぼす可能性が出てきます。
これにより、病気を引き起こす可能性があるのではないかと警鐘を鳴らしているのです。
家電製品中、最も強いひとつ
電磁調理器から出る電磁波は、10センチ離れていて80~370mG、50センチでは
5.5~7.2mGという測定結果があります。
電子レンジが10センチで40~102mG、50センチの距離で4.3~8.2mGですから、
これは家電製品の中でも最も強力な電磁波発生源といえます。